文芸研究Ⅱ 下原ゼミ通信No.230

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日本大学藝術学部文芸学科     2013年(平成25年)11月25日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.230
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                             編集発行人 下原敏彦
                              
9/30 10/7 10/21 10/28 11/11 11/18 11/25 12/2 12/9 12/16 
1/20  1/27 
                 「2013年、読書と創作の旅」の皆さん

11・25ゼミ


 1. 12・16の3ゼミ合同発表会に向けての、模擬裁判稽古
 2. 児童虐待防止推進月間「にんじん」について3.世界名作・詩篇
         

11・18ゼミ報告 (参加3名)

 授業前、O先生が、冗談まじりに「ゼミ誌入稿したら、学生は今年は終わったと思って
いるようです。休む人が多くなりました」と、話していた。教室に行くと南海さん1人。も
しかして・・・と、懸念しつつ南海さんと最近のテレビドラマ(刑事もの、検察ものが多い
のはなぜか)、について、村上春樹の作品(なぜ人気)について話す。つるべ落としの夕刻、
今日は、もう誰も、と思っていたら齋藤さん、嶋津さんみえる。

【ゼミ雑誌刊行は近日中】

ゼミ誌『読書と創作の旅』は、目下、12月6日の納入日に向けて印刷作業中。

【12・16公演の模擬裁判稽古】  模擬裁判 寸劇稽古  時間の都合で中止

【テキスト『剃刀』の読み】

志賀直哉のテキスト読みとして『剃刀』を読む。床辰の主人の罪について話す。

【練習・麻布新兵殺害事件模擬裁判】

裁判官・・・・南海洋輔     被告・・・・嶋津きよら
検察・・・・・斎藤真由香    弁護・・・・南海

11月24日(日)「一年生展」見学・昼神温泉郷「熊谷元一写真童画館」

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.230 ―――――――― 2 ―――――――――――――

地方都市にて映画「約束」を観る

 この連休、私事で旅したが、23日、地方の町の公民館で自主上映の「約束」という冤罪事件を扱った映画を観た。この映画「約束」は、東海テレビ放送「司法シリーズ」の一つで、名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯を描いたもの。事件のあらましはこうだ。
 事件は、1961年3月28日 三重県名張市の山間部にある葛尾部落の集会所で起きた。
部落には18戸の家があった。この月、毎年、開かれる懇親会があり、その席で男は、日本酒、女はぶどう酒を呑むことになっていた。皆で乾杯してはじまった宴会だが、間もなく地獄と化した。ぶどう酒を呑んだ女たちが苦しみだした。15人が倒れ、そのうち5人が死亡した。警察は、「名張毒ぶとう酒事件」として捜査を開始した。
 6日後、部落の住人奥西勝(35)が逮捕された。逮捕理由は、部落内での三角関係を清算するために妻と愛人の殺害を計画、実行したとの物証なしの見切り逮捕。が、容疑者となった奥西本人は、懇親会の会場となった集会場で、一人になるときを狙いぶどう酒に農薬を入れた、と自白した。そして、逮捕直後の記者会見で奥西は、被害者や遺族にお詫びの言葉を述べた。事件は一見落着にみえた。
 ところが1964年(昭和39年)津地方裁判所で、自白は信憑性がなく、物的証拠も乏しい。よって「疑わしきは罰せず」ということで無罪判決がおりた。判決後記者会見で奥西は、記者からの
「なぜ逮捕後の記者会見で、被害者に申し訳ないと、あんなことを言ったんですか」
の質問に、奥西は
「あの時は何といっいいかわからずにいたら、警部補が原稿を書くからそれを覚えて言うようにと言われた。自分の意志ではなかった」
と答えた。
 この判決を不服とした検察は控訴した。
5年後の1969年(昭和44年)名古屋高等裁判所は、1審の無罪判決を破棄し、
有罪として
「被告人を死刑に処す」
との判決を下した。
 戦後の裁判で唯一、無罪から極刑への逆転判決となった判決。1972年(昭和47年)、最高裁で「死刑」が確定した。以後、奥西は、冤罪を訴えつづける。
 1987年(昭和62年)、逮捕から26年目、奥西(61歳)のところに人権団体から
「あなたの力になりたい」
と、救援活動の声が届く。以後、署名運動など支援活動は、今日に至る。
 この事件のポイントは、犯人は、18軒の部落内の人間。それも16歳以上の、といえるが、警察の捜査は、先に犯人有りとしてしまったようだ。初動捜査のミス。当初、重要参考人は、幾人かいたという。懇親会の会長もその一人という。会長は自ら「このような犯罪を起こす理由のあるものが、3人ほど思い当る」と供述した。そのうちの一人は、会長の妻で、長年いじめられていた姑への復讐がその理由とのこと。いずれにせよ、此の事件は、狭い社会のなかでの愛欲、家族対立のなかで起きたもの。
※ 映画でわからなかったのは、一番身近にいた部落の住人たちの感想と意見がすくない。無罪判決をだした津地方裁判所の裁判官の性格と履歴。冤罪はあっても、許してもいけないが、それを伝える公平性を見極める力。

映画「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」監督・脚本 齊藤潤一
出演 仲代達也 樹木希林 天野鎮雄 山本太郎
ナレーション 寺島しのぶ
制作・配給 東海テレビ放送
―――――――――――――――――― 3 ――――― ☆文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.230

【児童虐待防止推進月間】

人間の謎を探る

11月は「児童虐待防止推進月間」です。ジュナールの『にんじん』を読んで児童虐待について考えてみましょう。

 厚生労働省では、児童虐待の防止等に関する法律が施行された11月を「児童虐待防止推進月間」と位置づけ、期間中に児童虐待防止のための広報・啓発活動などの取り組みが集中的に実施されます。

2013年の児童虐待防止の標語

さしのべた その手がこどもの 命綱


名作読み     児童虐待を考える

『にんじん』を読む

 新聞には、毎日のように悲惨な事件・事故の記事が載っています。なかでも胸が痛いのは、子ども虐待のニュースです。実の両親に殺される子どもが後を絶ちません。なぜ母親と父親は、一番可愛い盛りの我が子を死ぬまで虐待してしまうのか。表面上には、いろんな理由、事情があると思います。が、人間の大きな謎です。
 ゼミ後期では、テキスト事件もの(志賀直哉作品)模擬裁判と併せて、名作『にんじん』を読み、この作品の家族を徹底観察することで虐待の闇を考えたいと思います。
 その前に、作者ジュール・ジューナール(1864-1910)と『にんじん』作品について

1864年 フランスに生まれる
1881年 文学を志して大学進学を断念
1886年 歩兵連隊を歩兵伍長として除隊
1889年 フィガロ紙の記者になる
1894年 フィガロ紙を退社。小説『にんじん』を出版

『にんじん』の前扉に「ファンテックとバイイへ」とある。この二人は誰?
作者ルナールの長男と、長女である。
従って、この作品は、我が子二人に捧げられたということになる。
なぜ、残酷物語のようなこんな作品を我が子に・・・
これも大きな謎の一つである。

1897年 父、自殺する
1900年 戯曲『にんじん』初演
1909年 母、井戸に落ちて死ぬ。自殺の疑いも
1910年 5月22日未明、パリで死ぬ。46歳


文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.230 ―――――――― 4 ――――――――

家族観察『にんじん』の謎

 ジュナールの「にんじん」は世界的にも有名な作品ですが、この一家の謎は、いまだ解明
されていない。劇にもなり人気を博した作品だが、依然として謎のままである。下原ゼミでは、読み合うことで謎解きに挑戦しているが、より真相に近づくために読み終えた作品を、模擬裁判同様、脚本化してみました。口演することによって、「にんじん」一家の謎が少しでも浮き彫りにできれば幸いです。(参加不足の場合一人2役で)Q&Aでは印の説明をしてください。

登場人物  5名 他1名(声)
 
末っ子にんじん ・・・・・・・・・・・・・・・・

母親ルピック夫人 ・・・・・・・・・・・・・・・

父親ルピック氏 ・・・・・・・・・・・・・・・・

兄フェリックス ・・・・・・・・・・・・・・・・

姉エルネスチーヌ ・・・・・・・・・・・・・・・

ナレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・

―― 一幕 ――

ナレーション
        夜の「にんじん」家の居間。兄のフェリックスと姉のエルネスチーヌはテーブルで本を読んでいる。にんじんは、テーブルの下で遊んでいる。ルピック夫人が入ってくる。

ルピック夫人  きっとそうだわ、またオノリーヌはニワトリ小屋の戸を閉め忘れたんだわ。
        フェリックス、おまえ、戸を閉めてきてくれるかい?
フェリックス  (本を読んだまま)ぼくがここにいるのは、ニワトリの面倒をみるためじ
ゃないよ。
ルピック夫人  だったらエルネスチーヌ、おまえどうだい?
エルネスチーヌ やだわ、お母さんたち、あたし、こわくって!

ナレーション  二人とも、読書に夢中のふりをする。ルピック夫人は、困り顔でおろおろ
するが、不意に妙案をえたのか手を打つてテーブルを見る。

ルピック夫人  そうだったわ、あたしったら、なんて間が抜けてんだろう!なぜ気がつか
なかったのかしら。にんじん、ニワトリ小屋を閉めにいっておいで!
ナレーション
(ルピック夫人は、末の子に「にんじん」という愛称をつけている。髪が赤く、顔はそばかすだらけだったからだ)にんじんはテーブル下からおずおず顔をだす。
にんじん    でも、お母さん、ぼくだってこわいよ。
―――――――――――――――――― 5―――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.230

ルピック夫人  なんですって ? 大きなくせに ! 冗談をいうんじゃないよ。さあ、
早くおゆき!

エルネスチーヌ 知ってるわよ、お羊みたいに大胆なくせに!

フェリックス  こいつには、こわいものなんかないさ。こわい人だっていないもの。

ナレーション  おせじに、にんじんは得意になる。臆病な心と戦う。ルピック夫人は元気
づけるために叱る。

ルピック夫人  にんじん、行かないと平手打ちだよ!

にんじん    い、行くよ。だったら、あかりぐらいは照らしてね。

ルピック夫人  とんでもない。さ、早く行っといで。

エルネスチーヌ 私、あかり持っていてあげる。

ナレーション  彼女はついてきて廊下の端に立った。

エルネスチーヌ ここで待っているわ。

ナレーション  しかし、強い風があかりを消してしまうと、急に恐ろしくなって逃げる。
不意に真っ暗になった庭をにんじんはへっぴりごしで歩いていった。

にんじん    静かしろよ。 ! ぼくだだぜ!

ナレーション  彼は戸を閉め、一目散で居間に逃げ帰ってくる。兄も姉も、素知らぬ顔で
読書している。母親は、にんじんをみる。
ルピック夫人  にんじん、これからは毎晩、おまえが閉めに行くんだよ。

――― Q & A ―――

Q.一幕を観て、この一家をどう思ったか。

A.①ふつうの家族     ②なにか変

Q.何か変なら、誰が

A.①兄が   ②姉が   ③母親が

Q.母親が変なら、彼女のどこが?

A.①子どもを平等にみていない   ②怒りっぽい性格が

Q.にんじんは、これを書いて、何を言いたかったのか

A.①損な役回りの自分  ②自分の勇気。  ③母親の専制
 
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・229 ――――――― 6――――――――――――――――


 ③母親に嫌われているところをみせるため。 ④たんに一家のある夜の風景


Q.「にんじん」について、どう思う (『めんどり』のこの作品で)

A.①へんな子ども   ②ふつうの男の子   ③かわいそうな子  ④嫌な子

――― 二幕 ―――

ナレーション  「にんじん」家の台所。父親のルピック氏、夫人、兄のフェリックス、姉
のエルネスチーヌ一家総出で『しゃこ』の料理をはじめている。
        『しゃこ』(やまうずら)ルピック氏が今朝、猟に行って獲ってきた。
         テーブルの上に獲物の二羽の『しゃこ』を袋からだす。二羽は手傷を
うけただけで、まだ生きていて、バタバタしている。

ルピック夫人  フェリックス、おまえは石盤に、獲物の数をお書き。エルネスチーヌは、
羽むしりよ。「にんじん」おまえは、殺しの役目。しっかり殺しよ。今日
の一番の特権だよ。
にんじん    (小声で)ぼく、いやだなあ・・・・

ナレーション  「にんじん」は、嫌がりながらも、なぜこの役目をいいつけられたのか考
える。そして、以下の結論に達す。自分が血も涙もない心の持ち主で、万
人周知の冷酷さをもちあわせているからだ。
しかし、やっぱり嫌だ。それでのろのろしている。

ルピック夫人  なぜ早く殺(や)ってしまわないんだい?

にんじん    お母さん、ぼく、石盤書きのほうにしてほしいよ。

ルピック夫人  石盤はおまえには高すぎる。

にんじん    それなら羽むしりがしたいな。

ルピック夫人  それは男の子のすることじゃないよ。

ナレーション  にんじんは2羽のしゃこを手にとる。

ルピック夫人  ほら、そこで締めて。

エルネスチーヌ そう、頸のところを、羽を逆さにして―――。

ナレーション  にんじんは二羽つかんではじめる。

ルピック氏   一ぺんに二羽か、驚いたやつだな!

―――――――――――――――――― 7―――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.230

にんじん    はやく片づけたいもの。

ルピック夫人  神経質ぶるんじゃないよ。心のなかじゃ楽しんでいるくせに。

ナレーション  しゃこは、暴れる。ぜったいに死にたくないのだろう。にんじんは、手こ
ずって、怒りだす。者この足をつかんで、靴で頭を蹴とばす。頭蓋骨が砕
けてしゃこは動かなくなる。

フェリックス  驚いたな!情け知らずめ!

エルネスチーヌ なさけ知らず! 情け知らず!

ルピック夫人  手際のいいつもりなのさ。ああ、かわいそうなもんだね。あたしがこんな
ふうにかきむしられるんだったら、ああ、考えただけでもぞっとするよ。

ルピック氏  とても見てはいられん。外の空気を吸ってくる。

にんじん   終わったよ!

ルピック夫人 これじゃ汚らしくってしょうがない。

フェリックス ほんとうだ、いつもよりうまくできなかったな。

なんとも、そうぞうしい「にんじん」家の台所風景だが、ここでみえるものは何か。

Q.この作品の感想

A.①ひどい家族   ②普通の家族   ③腹の立つ家族

Q.ひどい話なら、どんなところが

A.①殺し屋をにんじんに押し付け親   ②にんじんの殺し方

Q.殺し屋の役目は不当か

A.①不当でない   ②不当だ    ②べつに問題ない

Q.不当でないなら、その理由は

A.①にんじんしかできないから  ②石盤書きと羽むしりは無理だから

Q.「しゃこ」の状況なら、あなたはどんな役目

A.①早くらくにしてやりたいので殺し屋  ②石盤書きが楽なので石盤(つまらない仕事)

  ③羽むしり(これも、すぐあきるしごと) 

 一見、「にんじん」だけが損な役回りにみえるが、兄も姉もほんとうはやりたくて仕方がない。でも、怖いのと臆病で、できない。そんな推察もできます。 つづく
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・230 ――――――― 8――――――――――――――――

―― 三幕 ――

ナレーション  裏の畑で、兄のフェリックスとにんじんがつるはしを使って畑仕事をして
いた。二人は近過ぎた。兄が振り下ろしたつるはしの先がにんじんのひた
いを一撃した。血が吹き出たのをみて気の弱い兄は、気絶した。部屋に運
び込まれ大騒ぎとなる。ペットに寝込んだフェリックスをルピック氏、ル
ピック夫人、姉のエルネスチーヌが心配そうにのぞきこんでいる。額の傷
を布でまいた「にんじん」も皆の後ろからのぞきこんでいる。

ルピック氏   塩はどこだ。

ルピック夫人  よく冷えた水を少しおくれ、このこめかみを冷やしてやらなきゃあ。

ルピック氏   (振り向いてにんじんに)えらい目にあったなあ。

エルネスチーヌ バターをくり抜いたみたいだわ。きずのところ。

ルピック夫人  おまえ、注意できなかったのかい。バカな子だね。

Q.皆が「にんじん」の傷を心配しないのは、なぜ?

A.①にんじんは肉体的・精神的に強いから   ②潜在的に嫌われているから

Q.この話の感想

A.①にんじんがかわいそう    ②ユーモア話     ③よくある家族の話

―― 四幕 ――

ナレーション  朝のにんじんの部屋。にんじんはベッドで朝寝坊している。ルピック夫人
が入ってくる。鼻をくんくんさせる。

ルピック夫人  なんて変な臭いがするんだろうね!

にんじん    (起きて)お早う、お母さん。

ルピック夫人  ちょっとおみせ!

ナレーション  ルピック夫人、にんじんのベッドからシーツをはぎとり、臭いをかぐ。

にんじん    ぼく、病気だったんだよ。尿瓶がなかったんだもの。

ナレーション  にんじんは、こういうのがおねしょをしたときのいちばんの言いわけだと
思った。が、図星だった。ほんとうになかったのだ。用意するルピック夫
人が忘れたのだ。

ルピック夫人  嘘つきもの!嘘つき。


―――――――――――――――――― 9 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.230


ナレーション  ルピック夫人、あわてて部屋を飛び出していって尿瓶を隠しもってくると
ベッドの下にすべりこませる。そして、にんじんにピンタをくらわせる。

ルピック夫人  みんな、起きといで。こんな子どもをもつなんて、いったい、なんの巡り
合わせだろう?

にんじん    お母さん、ぼくベッドでスープ飲んでいい。

ルピック夫人  (怒りを押えて)しょうがないねえ、まったアホなこだよ。

ナレーション  ルピック夫人はスープわ持ってくると、おねしょのシーツのところに行っ
て、すくってスープ椀に入れる。それをにんじんに飲ませる。

ルピック夫人  ああ汚らしい、おまえは食べたんだよ、ほんとにたべたんだよ。それもじ
ぶんのやつをね。昨夜のやつをさ。
にんじん    そんなことだと思っていたよ。

Q.母親は、なぜ尿瓶を忘れたことを話さないのか。

A.①おねしょを叱るのに示しがつかないから  ②忘れたのが恥ずかしいから

Q.にんじんはおねしょをほんとうに飲ませられたように書いているが。

A.①おねしょおおすための方便   ②ほんとうに飲ませた   

Q.母親の行為をどう思うか

A.①異常だ   ②おねしょをなおすためには仕方がない 


感想

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・230――――――― 10―――――――――――――――

.世界名作読み・詩編 秋の詩

 ヴェルレーヌの作品から「沈む日」と「秋の歌」を読みます。二人の訳者のものです。訳者によって名作の印象は、違うか、違わないか。
※ポール・ヴェルレーヌ(1844-1896 1月7日~8日夜デカルト街39番地の陋屋にて死ぬ)

訳者・堀口大学『土星の子の歌』から     訳者・橋本一明『土星びとの歌』から

   沈 む 日               沈む日

たよりないうす明り             弱まった あけぼのが
沈む日の                  沈む日の
メランコリヤを               メランコリーを
野にそそぐ。                野にそそぐ
メランコリヤの               そのメランコリーが
歌ゆるく                  やさしい歌で
沈む日に                  沈む日に
われを忘れる                とろけこむ 心をゆする
わがこころ                 砂浜に 沈みゆく
うちゆする。                夕日さながら
砂浜に                   たえまなく 消えていく
沈む日もさながらの             奇妙なる さまざまの夢            
不可思議の夢                あけいろの亡霊か
紅の幽霊となり               たえまなく 消えていく
絶えまなくうちつづく            砂浜に 沈みゆく
大いなる沈む日に似て            夕日さながら
砂浜に。

  秋 の 歌               秋の歌

秋風の                    忍び泣き
ヴィオロンの                 ながくひく
 節ながきすすり泣き             秋の ヴィオロン
もの憂きかなしみに              ものうくも
わがこころ                  単調に
 傷くる。                  ぼくの心を いたませる

時の鐘                    時つげる
鳴りも出づれば                鐘の音に
 せつなくも胸せまり、            胸つまり あおざめて
思いぞ出づる                 過ぎた日を
来し方に                   思い出し
 涙は沸く                  ぼくは泣く

落ち葉ならぬ                 性悪の
身をばやる                  風に吹かれて
  われも                  ぼくは行く
かなたこなた                 ここ かしこ
吹きまくれ 逆風よ。             吹き散ろう  落葉さながら
――――――――――――――――― 11 ――――― 文芸研究Ⅱ下原ゼミNo.230

熊谷元一研究
「一年生」特別企画展

会場 長野県昼神温泉郷 熊谷元一写真童画館・常設展示場

第1回展 :  9月18日(水) ~ 12月16日(月) 12月18日に作品の入れ替え
第2回展 : 12月19日(水) ~ 2014年2月中旬迄
入館料、一般350円 火曜日休館

常設作品の他、普段は展示されない作品、計95点が

 2010年11月に101歳で亡くなった写真家熊谷元一(1909-2010)の代表作といえば、1955年に出版された写真集『一年生―ある小学教師の記録』(岩波写真文庫)である。この作品展が、熊谷の郷里にある熊谷元一写真童画館で開かれる。今年は、没後3年に当たることから特別企画展として2014年2月中旬まで開催される。

【『一年生』出版まで】

1949年4月 (40歳)母校会地小学校に転勤になる。
1951年 (43歳)岩波写真文庫の仕事として蚕の写真を撮る。『かいこの村』
1953年4月1日 (44歳)小学1年生を担任。写真撮影を開始する。
1954年3月30日、小学1年生写真撮影終了
1955年3月 (46歳)、岩波写真文庫『一年生』出版。

これまでの郊外授業 (熊谷元一研究)

下原ゼミでは、熊谷元一研究の一環として郊外授業を実施していきます。写真展、童画展写真童画館見学や熊谷元一研究発表(28会主催)などが主な授業内容です。研究の目的は、熊谷元一という一人の写真家・童画家の生涯と作品検証です。研究は、継続的になります。熊谷の写真、童画、学校教育に関心ある人は、ご参加ください。
これまで実施した郊外授業は、以下の通りです。見学は28会含む()はゼミ生
□2011年9月23日~24日 山形県酒田市美術館「近くて懐かしい昭和展」見学4名
□2012年7月8日(日)~9日(月)秋田角館ぷかぷ館「熊谷元一写真展」見学5名(1)
□2013年7月5日(日)銀座・教文館「岩波書店創業百年展」見学9名(2)
□2013年9月30日(月)市ヶ谷「熊谷元一写真コンクール選考会」見学5名(1)
□2013年11月9日(土)長野県昼神温泉郷 熊谷元一写真童画館「一年生展」
□2013年11月24日(日)熊谷元一写真童画館「一年生展」見学 28会(8名)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

募 集 第17回【熊谷元一写真賞コンクール】

応募テーマ「かんどう」

締切平成26年9月20日まで。応募先・〒395-0304 長野県下伊那郡阿智村智里331-1 熊谷元一写真童画館内「写真賞コンクール事務局」0265-43-4422 
文芸研究Ⅱ下原ゼミNo・230――――――― 12―――――――――――――――

ゼミⅡの記録

□ 9月30日(月)郊外授業 写真賞審査会見学 ホテル市ヶ谷 参加1(ゼミⅣ)
□10月 7日(月)ゼミ誌編集作業報告、作成会議 表紙の紙質選定 参加3名
□10月21日(月)司会・南海洋輔 ゼミ誌編集報告 テキスト読み『范の犯罪』疑似法廷
         劇の配役を決める。4名全員参加
□10月28日(月)参加者3名、ゼミ雑誌編集報告、模擬裁判・稽古、南海さん演出・監
 督、齋藤、嶋津。『兒を盗む話』南海さん課題報告、人生相談「大学を
やめたい」私のアドバイス。
□11月11日(月)ゼミ誌編集報告、「竹取り物語事件」、「尾道幼女誘拐事件」「継子殺人未遂事件」についての考察と刑量について、参加者3名
□11月18日(月)3名参加、嶋津、斉藤、南海 『剃刀』読みと脚本読み
ゼミ雑誌『読書と創作の旅』
1. 12月6日(金)はゼミ誌納品期限です。
2. 12月12日までに見本誌を出版編集室に提出してください。
3. 12月下旬までに印刷会社からの【③請求書】を出版編集室に提出してください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

掲示板

お知らせ

◇12月7日(土)、ドストエーフスキイ全作品を読む会「読書会」

会 場 東京芸術劇場小5会議室   時 間 午後2時 ~ 4時45分迄 
作 品 『夏象冬記』     報告者 大野智之さん

◇2014年2月1日(土)、ドストエーフスキイ全作品を読む会「読書会」

会 場 東京芸術劇場小5会議室   時 間 午後2時 ~ 4時45分迄 
作 品 『鰐』     報告者

◇11月は児童虐待防止推進月間 です。


・・・・・・・・・・・・・・・・編集室便り・・・・・・・・・・・・・・・・
□住所〒274-0825 船橋市前原西6-1-12-816 下原方『下原ゼミ通信』編集室
 メール: TEL・FAX:047-475-1582  toshihiko@shimohara.net
       携帯 090-2764-6052

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