日本大学芸術学部文芸学科 2009年(平成21年)5月25日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.125
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
編集発行人 下原敏彦
2009前期4/20 4/27 5/11 5/18 5/25 6/8 6/15 6/22 6/29 7/6 7/13
2009年、読書と創作の旅
5・25下原ゼミ
5月25日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2
1.出欠・ゼミ通信配布 国語問題答え合わせ
2.司会進行指名(司会担当者は3頁のプログラムに沿って進めてください)
3. 5/18ゼミ観察としてテキスト、名作について
4. 課題・車内観察作品発表&感想・評
5. 社会観察 (人生案内から)
12歳作家の小説作法
20日朝、NHKテレビの「おはよう日本」を見ていたら特集で12歳の作家誕生というのがあった。小学生が小説を書く。近ごろ静かな流行なのだそうだ。番組は、出版社の小学館が、つくった「子供新人賞」で大賞を受賞した子供作家の紹介だった。たしか三船恭太郎君と、云ったか、12歳になる少年だった。落ち着いた雰囲気で早くも大家の様がある。インタビューしたアナウンサーに言わせると、ふつうの会話は小学生らしいが、文学の話になると違うと言っていた。どんなふうに違うのか。ちゃんとした小説作法を持っているのだという。書店に、自分の顔写真が載った新刊がずらっと並ぶ気持を聞かれて、素直に「うれしい」と答えていた。なかなかである。彼の小説作法とは、どんなものか。一に、観察、二につづける、と答えていた。大賞をとった作品も、日々、観察したものをまとめあげたものらしい。学校で育てたへちまを観察しながら、転校していった好きな女の子を思う作品らしい。
もっとも一口に観察するといっても漠然としていて雲をつかむようだ。ゼミでも習慣化を目標に掲げ、課題をだしているが、身につく観察は、容易なようで容易ではない。たかが観察、されど観察である。何事も一朝一夕でできるものではないのだ。彼の場合、川柳教室に通っていて、そこで観察力をつけているという。「体重計乗るたびに母の機嫌は揺れ動く」だったか、こんな句が紹介されていた。才能だけでは小説は書けないことを知っている。
土壌館でも、塾に行く小学生が多くなった。塾といえば、英語かそろばんと思っていた。それが、このあいだ、気なしに「何の塾なんだ」と聞いてみた。そしたら「作文教室」と答えたので驚いた。作文の書き方を習うために月謝を払って塾に行く。なかなか理解しにくい。が、いまどき本流だそうだ。国立の付属小学校の授業風景が紹介された。先生がお題をだし、3分以内に、それについて書く授業をやっていた。効果はあるらしい。この日は「冷蔵庫」だったが、すぐに手をあげる子がいた。「この消しコムからだって話がつくれます」と出版社を日参したチェーホフが見たら驚くに違いない。