2008年6月アーカイブ


日本大学芸術学部文芸学科     2008年(平成20年)6月30日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.107
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2008前期4/14 4/21 4/28 5/12 5/19 5/26 6/2 6/9 6/16 6/23 
6/30 7/7 7/14 
  
2008年、読書と創作の旅

6・30下原ゼミ

6月30日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2

 1.出欠・連絡事項・司会進行者指名・ゼミ誌作成報告

 2.課題提出原稿&テキスト『城の崎にて』読み「生き物観察」
    
 3.「単純な、しかし厄介な事件」観察「裁判員制度擬似体験」

  4.名作「ニコライが読む古事記」「日本のはじまり観察」読み
     
 
     車窓 北朝鮮問題観察③
 最近の世界ニュースは米国の北朝鮮へのテロ支援国家解除である。6月24日読売新聞は朝刊トップに「テロ指定解除26日着手 米、北の核申告と同時」を掲載。朝日新聞は27日に「北朝鮮テロ指定解除表明」をと、このところ北朝鮮関連の記事が目立つ。これは6カ国会議で、核無能力化をゴネていた北が、突如非核化計画を申告し実行したことにある。内外とも問題を抱える米国は、形だけにせよ爆破を米CNNがテレビ中継したことで、テロ指定を解除したい意向だ。日本政府も、これに追随するようだ。福田首相は、23日の記者会見で「停滞する日朝関係にも前進の兆しが見え始めている」と話した。北の核施設爆破は、プロパガンダなのは、誰がみてもあきらかだ。が、核廃絶を願う世界にとっては、それでも喜ばしいニュースのようである。それにしても、米国は、なぜこうも容易く北の策略にはまったのか。日本としては、米国のテロ解除を作戦とみたい。(例えば新証拠を握っていて、後で攻撃の材料とする。イラクの失敗の轍は踏まないためのである)。そうでなければ、到底承諾できるものではない。今回の核施設爆破は、細菌で汚れた貯水槽がある、皆が心配し恐れていると騒いだら上の濁りだけを、すくいとった。そんな見え透いた行為である。
 日本にとって北がテロ支援国家でなくなるのは、二つしかない。一つは1970年3月31日に起きた「よど号ハイジャック事件」。午前7時21分乗員7名、乗客131名を乗せた日航機「よど号」は福岡空港を目指して羽田を飛び立った。しかし、富士山上空でハイジャックされた。犯人は9人の赤軍派。よど号は、福岡空港と韓国金浦空港で交渉のため40時間留まった後、犯人の希望通り北朝鮮の平壌に向った。犯人たちは、犯罪者にもかかわらず、北朝鮮では、英雄視された。彼らテロ犯の無条件の返還である。もう一つは、拉致被害者、全員の即刻返還。アメリカが拉致に鈍感なのは、自分たちもつい最近までアフリカから人をさらってきて働かせていた。そんな歴史があるからか。もし、米国のテロ支援国家解除が本当なら、残念ながらそうと疑ってしまう。

日本大学芸術学部文芸学科     2008年(平成20年)6月23日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.106
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2008前期4/14 4/21 4/28 5/12 5/19 5/26 6/2 6/9 6/16 6/23 
6/30 7/7 7/14 
  
2008年、読書と創作の旅

6・23下原ゼミ

6月23日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2

 1.出欠・連絡事項・司会進行者指名・ゼミ誌作成報告

 2.課題提出原稿読みと感想&「人生相談」考  
      
 3.テキスト『城の崎にて』(『出来事』関連)読み 「生き物観察」

  4.「一日を記憶する」関連作品読み&表現・紙芝口演居(残り)
     
 
     車窓 北朝鮮問題観察②
 1910年の韓国併合で、日本に植民地化されていた朝鮮半島は、45年の日本敗戦によって、かっての朝鮮国が復活するかにみえた。が、そうはならなかった。世界は、全体主義・ファシズムとの戦いから思想がしのぎを削る東西冷戦時代に突入していたのだ。人民の王国を旗印にソ連邦は、革命の輸出国となり、あちこちに社会主義国家をつくりあげていった。国内でも、革命戦士の英雄を作り上げた。その一人が北朝鮮の生みの親金日成である。国内では、抗日戦士として輝かしい伝説を持つ人物だが、何年か前、ロシアで放映されたドキュメントで、化けの皮がはがれた。植民地時代、彼の一家はロシアの山村に隠れ住んでいたというのだ。朝鮮戦争勃発でソ連軍の神輿に乗って出てきただけ。この点は、抗日戦士の英雄としてアメリカに担ぎ出され、そのまま大統領になったがアキノ候補殺害疑惑で、追放されハワイで死んだフイリピンの元大統領と似ている。金日成出生の秘密を暴いたドキュメントの件でロシアテレビのプロデュウサーは北朝鮮から脅迫されたと話していた。歴史は、眉唾ものが多い。なかでも英雄伝説は、大抵は作り物といえる。しかし、プロパガンダは常に時代を制す。当時は、金日成は、真に英雄であった。マスメディアも、そのように報じていた。
 クラスに北と南の学生がいた。実習などで先生が叱るのは、たいてい南の学生だった。(実際、サボるのは彼だったのだが)「北では、一生懸命国づくりをしている」それなのに、君はサボったりしていいのか、というのだ。1953年の休戦で国を閉ざした北朝鮮だが、もれ伝わってきたのは「地上の楽園」を目指した国づくりだった。祖国の役に立ちたい。心ある在日の人々は、国に帰ることを決意した。政府もメディアもこぞって応援した。帰還事業は、1959年12月からはじまり1984年7月までつづけられた。この間、日本人妻や子供約6800人を含む9万3340人が北朝鮮に渡った。が、ほとんどの人たちが行方知れずとなった。彼らを待っていたのは、地獄だった。脱北者の書いた手記をみれば明らかだ。当時なぜ、世界も日本も、わからなかったのか。金日成英雄伝説を信じ続けたのか、謎である。

日本大学芸術学部文芸学科     2008年(平成20年)6月16日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.105
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2008前期4/14 4/21 4/28 5/12 5/19 5/26 6/2 6/9 6/16 6/23 
6/30 7/7 7/14 
  
2008年、読書と創作の旅

6・16下原ゼミ

6月16日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2

 1.出欠・連絡事項・司会進行者指名・ゼミ誌作成報告

 2.課題提出原稿読みと感想  
      
 3.テキスト『正義派』(&『出来事』)読み

  4.「一日を記憶する」関連作品読み&表現・紙芝口演居(残り)
     
 
     車窓 北朝鮮問題に想う①
 車窓に再び北朝鮮問題がちらつき始めた。「脱北女性が総連提訴」「地上の楽園は虚偽」(6月13日読売)「よど号・拉致容疑者、帰国へ」(6月14日朝日)「政府、制裁一部解除へ」(読売)などなど、このところ北朝鮮関連の記事が大見出しになっている。
 しかし、「時空ゼミ2号」搭乗の隊員は、大半が平成生まれ。この車窓を見ても、恐らくすぐには理解できないのではと想像する。そこで過去の車窓を呼び戻して見た。
 朝鮮問題のそもそもの発端は、1910年(明治43年)8月22日にある。「韓国全部ニ関スル一切ノ統治権ヲ、完全且永久ニ日本国皇帝陛下ニ譲与ス」(第一条)の調印にある。が、いまさら歴史を紐解いて悔いてみても仕方がない。そこで、現在に通じる出来事。まず「総連提訴」「地上の楽園」とは何か、からみてみたい。韓国併合以来、朝鮮半島から大勢の人たちが日本に働きにきていた。なかには強制的に連れてこられた人たちもいる。日本は、西欧の真似をして植民地化していたのだ。しかし、1945年日本が戦争に敗れたことで、宙に浮いた。とたん朝鮮半島では、思想戦がはじまった。1950年朝鮮戦争勃発である。アメリカとソ連の代理戦争である。戦いは決着がつかず、北緯38度線付近(板門店)で停滞し1953年休戦協定が調印された。結果、朝鮮半島には二つの国家が誕生した。当然、日本は米国が助ける南朝鮮・韓国を応援した。が、その実、日本のマスメディア、インテリ層は、金日成という指導者がいる北を密かに応援していたのだ。1917年、ロシアは、革命によって社会主義国家を誕生させた。だれもが平等に暮らせる社会。ソビエト連邦は、人類の壮大な実験国家であった。北はその流れを汲む国とみた。「地上の楽園」の虚偽信仰は、まさにそこから生まれたといえる。1962年公開された日本映画「キューポラのある街」(浦山桐郎監督吉永小百合主演、ブルーリボン賞)は、帰還事業によって楽園の地に帰っていく在日の人々や日本人妻が描かれている。本当は、独裁者が支配する恐怖の収容所国家。だが、当時の日本の識者は、ひたすら新しい国づくりに燃える北の指導者に感動していただけだった。


日本大学芸術学部文芸学科     2008年(平成20年)6月9日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.104
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2008前期4/14 4/21 4/28 5/12 5/19 5/26 6/2 6/9 6/16 6/23 
6/30 7/7 7/14 
  
2008年、読書と創作の旅

6・9下原ゼミ

6月9日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2

 1.出欠・連絡事項・司会進行者指名

 2.課題提出原稿読みと感想  
      
 3.テキスト『或る朝』読み&『網走まで』関連作品読み

  4.「一日を記憶する」関連作品読み&表現・紙芝口演居(残り)
     
 
     車窓 なんとなく不安な世界
  いま、現時点の世界は、どんな風景が展開しているのか。ある日の車窓を覗いて見た。大雑把には、二つの時流が映っている。一つは、この星で武力的に最も力のある国の指導者を決めることに関する動向。いま一つは、やはり、かっては武力的に肩を並べ、一度は低迷したが近年再び、その勢力を盛り返してきた国の情勢である。米国とロシアがそれである。
 この星の車窓は、この二つの国の為政者の手腕によって、多少なりと風景が変わってくること必至である。ある日の車窓には、こんな光景が … 2008・6・7(読売)
・ヒラリー票狙うマケイン氏 現大統領とは微妙に距離
これは、長く続いた米大統領指名選で、民主党の候補にバラク・オバマ上院議員(46)がなったことを受け、共和党の指名候補ジョン・マケイン上院議員(71)が本選挙に向けて戦術を練りだしという記事。マケイン氏は、現政権に反する核軍縮構想や地球温暖化対策を打ち出しているが、武力解決を先行させるタカ派には変わりがない。「ブッシュ3期目」と反対者は多い。では、初の黒人大統領オバマ氏がいいのか、というと、これも心配だという。昨年、2007年ノーベル賞を受賞した英国の作家、ドリス・レッシング氏(88)は、このように危惧している。「オバマ氏は優秀な人材」だが、「オバマ氏が大統領に当選したら、暗殺されるだろう」米国には「決してなくならない人種的偏見が存在する」と断言している。南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃運動にかかわってきた人だけに、その予見は重い。自称世界の警察官アメリカの明日は、どちらになっても不安である。
・露大統領まだ独自色出せず プーチン首相が主導
 もう一つの車窓は、ロシアの怪である。大統領になってはみたものの。就任当初から世界の誰もがそう思っていたが、一か月経ってみて、やっぱりそうか、の雰囲気。「プーチン首相の絶大な影響力が露骨なのは、閣僚や大統領府の人事だ」シロビキ(旧ソ連、ロシア軍、情報関係者)が多い。2008年も半年。車窓は、霧が深くなるばかりである。(編集室)


日本大学芸術学部文芸学科     2008年(平成20年)6月2日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.103
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2008前期4/14 4/21 4/28 5/12 5/19 5/26 6/2 6/9 6/16 6/23 
6/30 7/7 7/14 
  
2008年、読書と創作の旅

6・2下原ゼミ

6月2日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2

 1.出欠・連絡と解説・司会進行者指名

 2.課題提出原稿読みと感想
      
 3.『少年王者』と『灰色の月』について

  4.表現・紙芝居『少年王者』稽古 「第一集おいたち編」
     
 
     車窓 普通の一日の新聞(2008・5・28朝日)
 
 新聞の三面記事は、時間列車の車窓風景である。時間列車は、はるか何百億年の昔、ビックバン爆発の祝砲に送られて出発した。車窓に、幾多の銀河の誕生を見た。幾多の星々の盛衰を見た。私たちが乗車した時間列車は、35億年前、銀河のはずれにできた惑星に到達した。有機体が存在する星だった。車窓に見え過ぎてく彼らの進化と後退。微生物から巨大生き物。様々な生き物が栄えては滅んでいった。つい最近のことだが、暫しの眠りから目を覚ますと、二足歩行の生き物がこの星を制していた。大氷河時代を生き延びた生き物。彼らは社会をつくり帝国をつくり、戦争と繁栄と破滅をくりかえし、車窓をあきさせない。普通の生き物は、この悠久の自然に調和している。が、この二足歩行だけが違っている。
 なんでもない普通の一日、世界で五番目に安全といわれる国の一日。車窓には、どんな景色が映っているのか。惑星時間2008・5・28車窓を見た。
・勤務中81人が株取引 最多5千回 NHK第三者委が公表
・小額5年生の女児連れ去り容疑の男(27)逮捕。福島 
・わいせつ容疑テレビ朝日記者(29)10日間の出勤停止 路上で公然わいせつ
・わいせつ行為で停職1年の処分 国立印刷局の男性職員(40代)
・全裸に目出し帽 待ち伏せて暴行 埼玉・容疑の男(36)供述「裸になると興奮する」
・マッキンリーで日本人2人不明。
・75歳、76歳、世界最高峰エベレストに登頂。登頂者は、すでに3000人。
・妹殺害 懲役7年 心神喪失 切断は無罪
・被害者参加――法廷は? 「遺族の訴え、量刑とは別」「感情的発言、混乱しないか」
・我那覇選手が「勝訴」点滴は医療行為・スポーツ仲裁裁判
人間は、謎である。