日本大学芸術学部文芸学科 2008年(平成20年)1月21日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.96
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
編集発行人 下原敏彦
2007後期10/1 10/15 10/22 10/29 11/12 11/19 11/26 12/3 12/10 1/7 1/21
2007年、読書と創作の旅
1・21下原ゼミ
1月 21日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室3
1.「2007年、読書と創作の旅」
・07年ゼミ感想 ・冬休み感想 ・2008年の目標
2.名作紹介・授業観察『最後の授業』
3.紙芝居(「赤ゴリラ」編)Or家族観察『にんじん』・店内観察『殺し屋』
さようなら「2007年、読書と創作の旅」
ありがとう!お元気で!健闘を祈る。
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さらば!時空体験五人衆
1689年(元禄2年)9月6日、この日、一人の俳人の旅が終わった。松尾芭蕉(46歳)この年の春、住み慣れた江戸隅田川畔の芭蕉庵を人に譲り背水の陣で奥羽・北陸地方に旅立ったのは3月もおしつまった27日のことであった。旅の動機は「予も、いづれの年よりか、片雲の風に誘われて、漂白の思ひやまず」としているが、真意は文学の奥義を極めるのが目的だった。旅日数150日、旅程6百里に及んだ旅。数々の名句を詠み、不朽の名作となった紀行文を残したことで、目的は見事、達成された。しかし、最後の句は「蛤のふたみに別れ行く秋ぞ」と侘しい。いつの世も、旅は惜別。サヨナラだけが人生さ、である。
2001年、「人間の謎」を知るため宇宙に旅立った宇宙船デスカバリー号の旅は、どうなったのか。「人間とは何か」「我々はどこから来て、どこに行くのか」謎解きの目的は達成できただろうか。ボーマン船長がたどり着いた先は、地球から2万光年離れた宇宙。そこで産声をあげる自分の姿だった。それを認めたとき、ボーマン船長は、存在宇宙に別れを告げた。あらゆる感情は、流れ去り目の前にあるのは人々をいっぱいのせた地球やその他の星々。ボーマンは、人間を全宇宙を見守り観察する存在となった。彼もまた目的を果たした。
「2007年、読書と創作の旅」はどうだったろう。旅の終わりは、いつのときにも安堵と寂寥感がある。同行者五人の、この旅も、ついに今日が終着地となった。そして五名の同行者との別れの日である。この旅の目的は、読むこと、書くことの習慣化を身につけることだった。果たして達成されただろうか?旅日誌を繰れば、ゼミ誌『CoCo☆電』を見ればその成果を知ることができる。いまの君は、一年前の君か?それぞれ胸に答えはある。
ともあれ、全員無事の生還を喜び讃えたい。そして、新たな門出を祝いたい。さらば、時空体験五人衆。いつか会える日を楽しみに所沢に在る。体に気をつけて。(土壌館)