2007年11月アーカイブ


日本大学芸術学部文芸学科     2007年(平成19年)11月26日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.92
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2007後期10/1 10/15 10/22 10/29 11/12 11/19 11/26 12/3 12/10  1/21 1/28 
  
2007年、読書と創作の旅

11・26下原ゼミ

11月 26日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室3

 1.「2007年、読書と創作の旅」)
   ・ゼミ雑誌入稿の報告    
 2.「車中観察」(『灰色の月』)& 「家庭観察」(『にんじん』)
 3.名作紹介・店内観察(『殺し屋』)
 4.紙芝居稽古
  
 
ゼミ誌『CoCo☆den』入稿成る!
 ゼミ雑誌『CoCo☆den』は、高橋・山根編集委員の活躍と全員の協力あって、先週入稿の運びとなりました。順調にゆけば12月初旬刊行の予定です。晴れて納入期限厳守できそうです。編集委員とゼミ員の皆様、ご苦労様でした。
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なんでもない日の新聞一面観察
 毎日の新聞には、この社会で起きた様々な出来事が満載されている。が、重大ニュースがない場合、新聞はどんなことを話題にするのか。相変わらず、防衛省をめぐるスキャンダルはつづいているが、人間の汚さ、欲深さ、破廉恥さにうんざりするばかりだ。で、たまには重大出来事のない日の新聞を観察しようと思った。何もない日、そんな日はあるだろうか。朝日新聞と読売新聞の一面を見比べてみた。
 何もない日。11月25日、日曜日の新聞がそうだった。この日の両新聞は、一面が違っていた。まず読売新聞は「アスベスト違法工事63件」解体・改修7件で飛散(昨年度、本社調査)の記事。石綿の人体被害について最近、その危険性が明らかにされた。読売は「医療ルネッサンス」など医療特集に力を入れているだけに、独自にこの問題にも取り組んできて、なんでもない日にトップ記事として出したようだ。並んでトップの「ミサイル防衛 PAC3展開 来月訓練」。これは「弾道ミサイル攻撃から首都は守れるのか」の前のイラク戦争でよく使われたパトリオットミサイルの移動訓練に関するもの。中記事に「思わずパチリ シーラカンス」、下段に「豪労働党11年ぶり政権 下院選大勝、イラク撤退も」記事内容、紙面での記事扱いなど読売らしい4記事である。
 これに対して朝日新聞は、2記事。「細る氷河 ヒマラヤ湖が数百㍍拡大 名古屋大・本社 共同調査」と「豪総選挙野党圧勝 11年ぶり政権交代 イラク一部撤兵へ」である。
地球環境問題と、与党政府に厳しい朝日ならではの記事である。このように、その新聞が何に興味を持っているのかは、ニュースのない日の新聞観察がいい。 (土壌館)


日本大学芸術学部文芸学科     2007年(平成19年)11月19日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.91
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2007後期10/1 10/15 10/22 10/29 11/12 11/19 11/26 12/3 12/10  1/21 1/28 
  
2007年、読書と創作の旅

11・19下原ゼミ

11月 19日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室3

 1.「2007年、読書と創作の旅」)
   ・ゼミ雑誌作成進行状況の報告    
 2.「車中観察」(『灰色の月』)& 「家庭観察」(『にんじん』)
 3.名作紹介・店内観察(『殺し屋』)戦争観察(『生きている兵隊』)
 4.紙芝居稽古
  
 
追い込み、ゼミ誌『CoCo☆den』編集作業!
 ゼミ雑誌編集委員の高橋・山根の両君は他のゼミ員の協力のもと、急ピッチで編集作業をすすめています。その尽力あって、12月刊行の見通しがつきそうです。12日に覗き見しましたが、パソコン技術と編集力を駆使したすばらしい出来でした。楽しみです。
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夜明けの闘い・多勢に無勢
 それは11月も中旬になろうとする、晩秋の早朝であった。六時半に居間に行くと、妙に外が騒々しい。わが家は都市整備公団住宅の最上階8階の端にある。サッシ戸を開けていれば、音と空気の関係で地上の物音はよく聞こえてくる。が、サッシ戸が閉まっていれば、消防車や救急車のサイレンの他は、さすがに聞こえてこない。なのにガアガアうるさい。ベランダにでてみるとすぐ上の屋上でカラスが騒いでいる。数羽近くいる。カラスたちは、ピンと体を一直線にさせ、さながら空中戦のように飛び交っている。水平に飛んでくる鳥、下から急上昇してくる鳥。その飛翔スピードからただならぬものを感じた。普段は、避雷針か、グランドの銀杏の大樹のてっぺんでのんびりカアカア鳴いて、アホくさくみえる。それが、今朝は、殺気立っているのだ。雛の季節でもないし、何事かと、見物した。
 どうやらカラスたちは、屋上にいるなにものかを攻撃しているようだ。特攻機のように突くこんでいくのもいれば、旋回が得意なゼロ戦型もいる。切れのいいカーブのように翼を縮めて飛翔するメッサーシュミット型、堂々と羽をひろげて真上から切り込んでいくグラマン型。カラスたちは、いったい何を攻撃しているのか。が、なかなか見えない。屋上にネコでもいるのか、とも思ったが、様子から、ネコではないようだ。カラスは数を増してきた。と、てんでに攻撃していたカラスたちが、列になって建物の間を、流れるように下降していった。そのカラスの集団の先に、茶色の鳥が見えた。トンビに違いなかった。トンビは、地上すれすれに下降したあと建物を旋回した。カラスの一群もその後を追って見えなくなった。そして、静かになった。トンビは逃げ切れただろうか。一羽で戦っていたのだ。(土壌館)


日本大学芸術学部文芸学科     2007年(平成19年)11月12日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.90
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
2007後期10/1 10/15 10/22 10/29 11/12 11/19 11/26 12/3 12/10  1/21 1/28 
  
2007年、読書と創作の旅

11・12下原ゼミ

11月 12日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室3

 1.「2007年、読書と創作の旅」)
   ・ゼミ雑誌について 原稿集めと今後の予定   
 2.「車中観察」(『灰色の月』)& 「家庭観察」(『にんじん』)
 3.名作紹介・店内観察(『殺し屋』)戦争観察(『生きている兵隊』)
 4.紙芝居稽古
  
 
ゼミ誌『CoCo☆den』原稿メーリングリストに掲載
仮完成11月15日(木)を目標に頑張りましょう!
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先夜の出来事「中秋の名月」
 先のゼミのあった夜の出来事である。JR錦糸町駅で快速に乗り換えることにした。秋葉で乗った各駅電車を降りて、快速のホームにあがった。数分待ちで8時55分の千葉行があった。帰宅ラッシュは過ぎた時間で、ホームは三々五々の混みであった。酔客あり、グループあり、読書する人あり、ただ呆然と中秋の夜空を眺める人など、いつもの週はじめの夜の風景であった。私は後部車両の列に並んだ。やがて、快速が入ってきた。総武線快速列車は滑るように目の前を過ぎていった。そのとき、向こうから「あっ」という悲鳴のような喚声があがった。人混みを縫って見るとホームに背広姿の男性が倒れていた。次の瞬間、私は凍りついた。なんと、男性の頭がホームと快速列車の間にスッポリはまっているのだ。無常にも快速列車は、走りつづけている。頭部がちぎれ飛ぶ。一瞬、そんな光景が浮かんで戦慄した。誰もがそう思ったのかも知れない。まるで時間が止まったようにその場に佇んで見つめていた。そのとき、一人の男性が矢庭に倒れた男性の足を持って引っ張った。うつ伏せに倒れた男性はなかなか動かない。誰か手を貸せばとおもったが、近くの人は、とっさのことで足がすくんでしまったようだ。まったくのフリーズ状態にあった。長い時間に思えたが、ほんの一瞬だったかも知れない。倒れた男性は、ズルズルとホームに引き戻された。頭はあったが、動かない。そのとき列車は停まり、ドアが開いた。しかし、だれも乗り込まなかった。降りた乗客も倒れた男性に釘付けになっていた。もう、生きてはいまい。そんな絶望感があった。と、ぴくりと足が動いた。次の瞬間、ホームは俄に騒々しくなった。駆け寄って声をかける人、携帯をかける人、駅員を呼びに走る人。仰向けになった男性の顔は血だらけで誰かが渡したハンカチは、みるみる赤く染まった。が、命に別条ないようだった。ようやく駅員が担架を持って走ってきた。二人の若者が運ぶのを手伝った。快速は、約10分遅れで発