日本大学芸術学部文芸学科 2007年(平成19年)6月 25日発行
文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.82
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
編集発行人 下原敏彦
2007前期4/16 4/23 5/7 5/14 6/4 6/11 6/18 6/25 7/2 7/23
2007年、読書と創作の旅
6・25下原ゼミ
6月 25日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室3
1.「2007年、読書と創作の旅」(提出課題受付・・進行指名)
・ゼミ誌編集について(新しい提案があれば)
・ゼミ合宿担当委員から合宿先抽選結果の報告
2.提出原稿の発表orテキスト感想and乗客観察『夫婦』
3.同時期の他の車内観察『三四郎』(はじまりの部分)
4. 名作紹介・連絡・配布・その他
映画観察
並みの作家は処女作を超えられない。こんな定説がある。映画も同じで再制作版は、どんなに金をかけても、最初の映画は越えられないものだ。17日夜、テレビで米2001年製作の『猿の惑星』があったので観た。監督はティム・バートン。新しい映画と思ったが、解説にピェール・ブールの原作を基にしたとあった。ということは1968年に大ヒットしたフランクリン・J・ジャフナー監督の『猿の惑星』のリメイクということになる。二番煎じは原作者H・G・ウエルズの曾孫サイモン・ウエルズが2002年に監督した『タイムマシーン』(途中降板、継投はゴア・ヴァービンズ)で懲りている。これも大金と最新の映像技術をつぎ込んだというが、1960年のジョージ・バル監督の『~80万年後の世界へ』に比べはるかに劣った。つまらなかった。今回もわかってはいたが、第一作が、面白かったのでつい観てしまった。ところが途中で気がついたのだが、公開当時劇場で観たことのある映画だった。すっかり忘れていたのだ。ということは、出来栄えは推して知るべしである。
なぜリメイク作品は面白くないのか。多説あろうが『猿の惑星』に限れば、話をあまりにも荒唐無稽につくり過ぎている。原作が面白いから映画化した。そのことをすっかり忘れているのだ。第一作目は、最後に多少違うところはあるが、(なぜかリメイク版は最後のみが原作に近い)ほぼ原作に近く矛盾があまりなかった。そこに成功の秘訣があった。その後、続、続々、新とヒット連作がでた。『猿の惑星』はSFだが、全くの空想事ではない。太平洋戦争で、日本軍の捕虜となった原作者ブールの体験記でもあるのだ。
この映画で思い出したが、チンパンジーが「やり」で狩りをしているということが確認されたという。「道具文化の進化わかる発見次々と」(2007・2・27朝日)こんな新聞記事をみた。猿はいま進化の過程にあるのかも知れない。そして・・・。
(土壌館)