「土壌館下原道場の柔道精神は、この戯曲の中にあります。」
脚本 下原敏彦
獅子と白菊 (富田常雄原作『姿三四郎』より)
登場人物
矢野正五郎(劇中では浩) 大学講師
矢野須賀子 その姉
矢野一作 その父
戸田雄次郎 正五郎の弟子
椿 早苗 須賀子の友人
泉 専太郎 巨漢の柔術家、正五郎の兄弟子
その他 その手下一、二
看護婦(声のみ)
時代背景 明治十四年
――― 一幕 ―――
東京の佐賀町にある矢野正五郎の部屋。周囲には本棚とうず高く積まれた洋書の山。右端に文机。その上にランプ。正面に障子戸。
第一場
季節、夏の終り。時間は夕方。矢野は文机前に正座して書きものをしている。部屋中央で戸田が稽古着を縫っている。外からはひぐらしゼミの鳴き声。
矢野はかすりの着物を、戸田はかすりの着物に袴をはいている。
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