2010年1月アーカイブ


日本大学芸術学部文芸学科     2010年(平成22年)1月25日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.141
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
後期9/28 10/19 10/26 11/9 11/16 11/30 12/7 12/14 1/18 1/25 
  
2009年、読書と創作の旅

後期の旅は、観察(表層観察と内面観察)から創作(&社会問題コラム)へ
1・25ゼミ

1月25日(月)の最後の下原ゼミは、下記の要領で行います。ゼミ2教室

 1.「ゼミ通信」配布、ゼミ誌作成報告、 
 
 2.名作読み・ドーテ作『最後の授業』&小倉百人一首
 
 3. お別れ会・「2009年読書と創作の旅」回顧
      

【1・18ゼミ報告】  ゼミ雑誌刊行は今月末、 ―パソコン突発事故発生―

 年明けにも完成予定だったゼミ誌の刊行が延期となった。原因は昨年末、突然のパソコン故障。このため、データーが雲散霧消。甚大の被害を受けた。編集長の河西さんは途方に暮れたと言います。が、孤軍奮闘の結果、見通しが立ったようです。ご苦労さまでした。

「2009年読書と創作の旅」を振り返って

 気がつけば最終日です。まだ実感はありませんが本日1月25日をもって、「2009年、読書と創作の旅」は終わります。参加同行のみなさんお疲れさまでした。
 この旅を希望されたのは6名の皆さんでした。が、全員の足並みが揃う日は(18日現在)ありませんでした。記念撮影も延ばしになったままで、今日を迎えてしまいました。残念ではありますが、望みどおり行かないのは世の常、旅の習い。脱落者がいなかったことを芳とします。良かったこともあります。常連同行者が、皆勤者2名、精勤者2名。提出課題も95%という好結果であったことです。課題は、観察・創作・時評・SFと多様でしたが、戸惑うことなく、即した作品が提出されました。旅の目的は、読むこと書くことの習慣化でしたが、十分に果たされたように思います。終わりよければすべてよし、とします。
 未来への旅は、いつのときも不安と困難です。思えば、この旅もそうでした。前期の車窓は、世界を震撼させた豚インフルエンザ流行騒ぎ。後期は、この国の政治では革命に匹敵する政権交代の喧騒。慌ただしい世相でしたが、旅は順調でした。夏合宿では、1845年のロシア、ペテルブルグへの時空の旅。彼の地で会ったワルワーラ嬢やジェーヴシキン氏。いまはなつかしい思い出です。人は、どんなに絶望しても「一つでも懐かしい思い出があれば救われる」とドストエフスキーは言います。皆さんの、本当の人生の旅はこれからです。茨もあれば泥濘もあるでしょう。そんなとき、2009年の旅が、僅かでも励ましの糧になれば幸いです。それでは、みなさん、さらばです。この1年、本当にありがとうございました。 
 (編集室)


日本大学芸術学部文芸学科     2010年(平成22年)1月18日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.140
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
後期9/28 10/19 10/26 11/9 11/16 11/30 12/7 12/14 1/18 1/25 
  
2009年、読書と創作の旅

後期の旅は、観察(表層観察と内面観察)から創作(&社会問題コラム)へ
1・18ゼミ

1月18日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。3階文芸教室

 1.出欠、通信・資料配布、連絡、司会指名、正月休み報告 
 
 2.ゼミ誌報告(編集委員)&ゼミ誌掲載作品合評
 
 3. 名作読み&小倉百人一首
      

12・14ゼミ報告

 昨年末12月14日の後期前半最終日ゼミは、恒例となっている三ゼミ合同授業を行った。参加ゼミは山下ゼミ、清水ゼミ、下原ゼミの三ゼミである。各ゼミとも一年の締めくくりとして、2009年度の授業成果を発表した。一番手の山下ゼミは、宮沢賢治研究をすすめていることから、『よたかの星』を朗読した。大きなスクリーンに映された野や山の色彩。それと照明の鮮度がマッチして、メルヘン的雰囲気をかもし出し、十分な宮沢賢治作品を感じた。つぎの清水ゼミは、一年間読み込んできたドストエフスキーの『罪と罰』の授業内容を報告した。下原ゼミは、志賀直哉の観察作品をテキストに授業をすすめてきたが、この日は、心理観察の総仕上げとして「ナイフ投げ奇術師美人妻殺人疑惑事件」(『ハンの犯罪』)の法廷寸劇を行った。裁判結果は以下の通りでした。

有罪、懲役3年、執行猶予3年で結審 

 ナイフ投げの演芸中に、的となっていた妻の首にナイフが刺さり妻は死んだ。夫婦仲は悪かった。はたしてナイフ投げは有罪か無罪か。ここで難しいのは、演芸中ということで、業務上過失致死とみられること大ということである。が、もし意図的、計画的だったら完全犯罪が成立してしまうことになる。計画的でないなら、なぜ不安定な精神のまま、演技をつづけたか。争点は、その二点に絞られた。午後四時から所沢法廷で開かれた「ナイフ投げ奇術師美人妻殺害事件」の裁判は、有罪が確定。懲役3年執行猶予3年で結審した。
 検察は、かねてからの夫婦間のこじれから、被告は業務上過失致死を装った完全犯罪とし有罪を主張。無期および終身刑を要求した。
 弁護団は、一貫して精神の心神耗弱を主張し、かつ被害者の無防を指摘した。
妥当な判決とみる人が多かった。
 最後に、下原が断りとして、当裁判はあくまでも文学的見地からの判決と説明した。