2009年10月アーカイブ


日本大学芸術学部文芸学科     2009年(平成21年)10月26日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.134
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
後期9/28 10/19 10/26 11/10 11/16 11/24 11/30 12/7 12/14 1/18  
  
2009年、読書と創作の旅

10・26下原ゼミ

10月26日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2

 1.出欠・ゼミ通信配布・後期に望んで・司会進行指名 
 
 2.ゼミ誌原稿提出&刊行に向けての編集作業について

 3. 課題発表・「〈振り込め詐欺被害者〉その深層心理を探る」

 4. テキスト『灰色の月』読み&名作紹介(詩篇訳・他)
      

観察から創作へ

新聞記事に挑戦
 10月19日ゼミは、新聞記事を土台にした創作作品を発表し合いました。「電車に轢かれた2歳児、奇跡的に助かる」(朝日)。この新聞記事を創作にどう転換するか。文学として、どう表現するか。提出された三作の合評・感想は、以下の通りでした。

■ 白川達矢作「ポカリ」 
  夫婦と娘の三人家族。妻の視点から自身の疎外感を描いている。「出来事」を巧みに織
  りませているところがいい。
  「透明感がある」「もう少し長くてもよかった」「家族のなかでの会話に登場は斬新」

■ 塩崎真佑作「窓」
  車窓から快い風が入ってくる。平和な車内。が、突然の急停車。 
  実況で語られる出来事。乗客たちの表情をよくとらえている。
  「正統派、(状況を)しっかり見ている」「歓声をあげるように声をだす、が気になった」
  「首から頭を出した、の表現も...」

■ 慈剛寺徳子作「死にかけた」
  語り口調の文体で作者がわかります。その特徴が発揮された小品となっている。
  でだしはのんびりしていますが、徐々に緊迫感が現れてきます。最後の、名前だけの
  締めに安堵感がでています。

三作品ともに、作者各人の特質が現れ生かされ、どれも佳品に出来上がっています。


日本大学芸術学部文芸学科     2009年(平成21年)10月19日発行

文芸研究Ⅱ下原ゼミ通信No.133
BUNGEIKENKYU Ⅱ SHIMOHARAZEMI TSUSHIN
                              編集発行人 下原敏彦
                              
後期9/28 10/19 10/26 11/10 11/16 11/24 11/30 12/7 12/14 1/18  
  
2009年、読書と創作の旅

10・19下原ゼミ

10月19日(月)の下原ゼミは、下記の要領で行います。文ゼミ教室2

 1.出欠・ゼミ通信配布・後期に望んで・司会進行指名 
 
 2.ゼミ誌原稿提出&刊行に向けての編集作業について

 3. 私の夏休み報告(愛読書・映画などの紹介)未発表の人

 4. 観察から創作へ「課題発表」 5.テキスト読み&名作紹介
      

後期は観察から創作へ

テキスト『出来事』読みと課題・新聞記事

 前期は主に車内観察をすすめてきました。観察作品を発表することで書くことの日常化、習慣化をはかってきました。実に多くの提出作品があり参加者の熱い取り組みを感じました。 
 まだ評されていない作品もありますが、鉄は熱いうちに―ということで後期は、一歩、前進して観察や新聞記事から、創作を試みて行きます。なお、名作読みはつづけます。
 9月27日ゼミでは、その初発としてテキストの『出来事』をとりあげました。電車に跳ねられそうになった子供が助かった出来事。併せて、似たような出来事。最近の新聞記事(2009年9月22日朝日新聞)「頭上に電車 2歳ふせて無事」を紹介。『出来事』を手本に、この記事から短編作品を課題としました。報道された奇跡の出来事(素材)を、創意工夫で、どれだけ臨場感溢れた文章として表現できるか。試みてください。
『出来事』について
 小説の神様志賀直哉は、自分が体験した車内観察を、どのように創作したのか。作品『出来事』ついて検証したい。
【実体験】まずこの作品は、実体験か。それに関しては日記に以下の記述がある。
・大正2年(1913)7月26日「子供が電車にヒカレかかった『出来事』」
・同年7月8日「帰って『出来事』を少し書いた」
・同年8月15日「病院、かえって、『出来事』の終いを書き直して出来上がってひるね、伊
        吾来る。起きてそれを読む」(伊吾=里見弴)

 と、あるところから実体験の可能性大である。【創作余談】でも「これは自身で目撃した事実をほとんどそのまま書いた」としている。